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竜を撫でる 07

竜を撫でる ©2023 星子意匠 / UTF.
あらすじ

 「天竜は人語を操り、竜を殺す。」近く成人を迎える王子のレイナードは、パレードで竜に乗る練習のため、地竜に乗る竜屋のディアナと北にある『天竜の滝』へと出かけた。その帰り、他国から突如襲撃を受け、飛竜に乗った正体不明の追手により、ディアナは瀕死の重傷を負ってしまう――。©2023 星子意匠 / UTF.

 

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他サイトでも重複掲載。(外部サイト)

https://shimonomori.art.blog/2023/05/31/std/

 

 

本編

07 ディアナ

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レイナード「…天竜だって?」

 

ディアナ「言っただろ?
     信じなくていい」

 

レイナード「首は? 矢傷はどうなった?」

 

ディアナ「もうふさがった。
     確かめてみるか?
     この暗闇の中で。
     穴に指を突っ込むんだ」

 

レイナード「…下品な言葉はつつしめ」

 

ディアナ「竜はきょうが初めてで
     女にまたがるのはまだか?」

 

 ディアナの口から出る品のない冗談に付き合わず、レイナードはこの状況を考える。

 

レイナード「国が心配だ…」

 

ディアナ「それならそのまま
     祈って夜でも明かせ」

 

レイナード「父母は無事だろうか…」

 

ディアナ「王の愚息ぐそくはやはり矮小わいしょうだ」

 

 こんな状況でもディアナはレイナードをバカにする。

 

レイナード「なんなんだ! さっきから」

 

ディアナ「いいか、王子さま。
     お前が心配しようが祈ろうが、
     状況が変わるわけじゃない。
     スピナーの腹から出て
     国へ走ったところで、
     お前はこのまま凍死とうしする」

 

レイナード「じゃあどうしろって言うんだ!」

 

 隣に居ると思しきディアナに触れて倒した。倒してしまってから気づいた。

 

レイナード「いや待て、ディアナ、お前…。
      なんで服を脱いでるんだ?」

 

ディアナ「は? 血でれた服が
     冷たいからに決まってるだろ。
     わかったら乳房ちぶさから手を離せ」

 

レイナード「わっ! すまん…」

 

 暗闇で見えない分、感触で気づくべきだった。改めて自分が直に触れたものの手触りを思い出す。血と臓腑ぞうふの残り香の中に、ディアナの放つ女の匂いがあった。

 

ディアナ「レイナード、お前も服を脱げ。
     隣がびしょ濡れでは
     こっちまで風邪を引く」

 

レイナード「天竜が風邪を引くのか」

 

ディアナ「ひとの言葉を操るのが天竜だ。
     いいからつべこべ言わずに
     さっさと脱げ!」

 

レイナード「待て! 触るな!」

 

ディアナ「愚息ぐそく愚息ぐそくの心配を
     している場合か!」

 

レイナード「待ってくれ! ちょっと!
      やめてっ! あっ!」

 

 

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竜を撫でる 08(2023/06/07 公開)

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